ZEN麺 Hot News ’98秋冬合併号
                (1999年4月発行)


第5章 『そばによるまちづくりの構想』
研究レポート:会津地域における「蕎麦の里」創建試案
全麺協審査員  唐橋 宏
 全麺協審査員の唐橋宏氏(会津そばトビア会議専務理事)が福島県会津地域で「蕎麦の里」づくりを精力的に推進されていることはご承知のことと思う。ここでは、唐橋氏の基本的な考え方を氏のレポートを中心にご紹介したい。現場でまちづくりをされている方々には具体的、実践的で役に立つマニュアルといえる。

項 目
1. A町および会津全域のそばの現状
2. A町「蕎麦の里」創建6大事業
(1) 生産基盤の確立
採種蘭場の確保と湿害対策
(2) 二次加工と商品化
加工施設の充実と技術確立
商品開発と販路拡大
(3) そば文化発信の基地づくり
国際そば文化研究所の設置
(4) 食文化向上の取り組み
そばレストラン、手打ち体験施設の建設
(5) そばによる観光エリアの確立
現存の宿泊施設利用のグリーン・ツーリズム
(6) そばによる国際交流の実現
オーストラリア・タスマニア州(平成11年度採種依頼)
ロシア、シベリア(白鳥のふるさとでもそばがある)
その他の団々





1.A町および会津全域のそばの現状
(1)A町の現状
@生産
 水田の転作によるそば栽培が中心で平成10年度500haを越える作付けが実施されたが、歴史的な長雨により水田は冠水し、そばの種子は発芽せず、発芽したものも枯死し、大変な損害を受けた。しかし、500haのそば耕作面積は本州では最大規模のものであり、今後の対策次第では有望な生産地となる可能性がある。
A加工、販売、商品化(商品化計画)
 A町は四季を通じて観光客を有し、最近のそばブームと重なり大変有望な市場となる可能性をもっている。そばの乾燥調製施設の高度利用を図ることにより、新たなる商品化と販路拡大が期待できる。
B町としての取り組み
 町長をはじめ町民が一体となり、「蕎麦の里」づくりに取り組み始めており、その方向性と将来性に大変な関心が寄せられている。他市町村と異なる切り口を模索すべきである。
(2)会津のそばの現状
@生産
 会津全域では現在、そばによるむらおこしが実施され、栽培面積もここ10年間増加し、現在200haを越えたものと思われる。そのうち、水田転作が60%そらいと今年のような気候には弱い一面を含んでおり水田の排水対策が急務。
A加工、販売、商品化
 最近、各地で生産に伴う乾燥調製施設が作られており、かなり良質の玄そばが流通するようになった。しかし、生産者の玄そばの商品化に対する知識が不足している。玄そばの販売だけではなく二次加工、つまり製粉し、生麺・乾麺等への加工による付加価値づくりはそばという商品では重要である。
Bイベント
 秋になると各地で「新そばまつり」が行われ、大変な人気を集めている。また、会津のそばの水準は全国でもトップクラスであると確信している。ただし、イベント開催時だけではなく、一年を通じてそばが食べられる賑わいを持続させるソフト、ハードづくりの機運の醸成が期待される。
Cむらおこし(ブランド形成)
 B町をリーダーとする「そばによるむらおこし」は会津一円に拡大し、盛んに実施されている。会津としての統一コンセプトの確立と合わせて各市町村個々の個性を磨いていくことが今後必要である。

会津全体の将来とA町の役割を明確にした計画が必要である





2.A町「蕎麦の里」創建のキーワード
(1)生産基盤の確立
@採種圃場の確保
 平成10年の長雨により大きな被害を受けたことを教訓に、町内外に確実な畑地採種開場の確保が必要である。出来れば町内の畑地が望ましいが、困難であれば中通りや山間地も視野に入れるべきと考える。
A水田の排水溝づくり
 湿害被害を最小限にに押さえるため、水田の周辺及び中央に30皿程度の深さの排水溝(暗渠、明渠排水)を巡らし大雨対策を行うことにより、安定した収量の確保を図るべきである。
B乾燥調製と製粉
 新設の乾操調製施設はとても立派で羨ましいかぎりであるが、品質の良いもの、悪いものも一緒になってしまうので、施設に搬入する際は十分チェックをすることが大切である(B町の例)。また、底部は撹拝が出来ず固定化され混ざり合わないので注意が必要である。水分含量も普通15%にする指導がなされているが、16%前後が味も香りも良い。過度な乾燥には気をつけたい。製粉も水分含量、天候により違いがあるので注意が必要で、玄そばの実入りにより差はあるが68〜70%の製粉歩留まりが一番美味しい。用途により変えなければならない。白いそばだけでは好ましくなく、殻をよく取り除き、甘皮まで入れると味も香りも良い。

(2)二次加工による商品化
《加工施設の充実》
@ 製粉は2種類くらいの粉を販売し、玄そばの販売だけでなく粉の販売にも力を入れる(付加価値の高いものにする)。
A A町はホテル、民宿、旅館が多く、その食事の中にそばを取り入れる。
 そばは加工施設において3種類くらいのそば(機械打ち、手打ち等)を配達し供給する。
B 持ち帰り用のそば(生麺、乾麺)の商品化を図り、土産品屋、ホテル等に販売依頼し、卸業を製造と合わせて行う。

(3)そば文化発信基地づくり
《国際蕎麦文化研究所の開設》
 そばは日本だけではなく世界の多くの国々で食されており、それぞれの文化を育てている。栽培から食料、それにまつわる多くの文化を研究し、地域の人々との交流を通じて学習し、新たなそば文化を発信できる基地とする。現在、空き家になっているホテル、または旅館を買い取り研究所とし、各大学の教授、有識者に研究員を委嘱し、年に一度「そば祭り」に合わせて「国際蕎麦文化フォーラム」を開催し、外因からも講師を迎え世界のそばを知る場を設定する。また、そばによる国際交流を進め相互交流を図る。

(4)新たな食文化の取り組み
《レストラン、手打ち体験館の設置》
 現在計画されているそばレストラン、手打ち体験館を充実したものとし、月代わりで世界のそば文化を味わってもらう。体験施設は小中学校の修学旅行、林間学校等の生徒をはじめ会社のリクリエーションの場となり得ることをピーアールし、ホテル、旅館と連携しツアーの商品化を旅行会社と行う。

(5)そばによる観光エリアの確立
《現存の宿泊施設利用によるグリーン・ツーリズムの推進》
 今、農林水産省は農村と都市との交流、特に都市の人々が緑と水、自然豊かな農山村の人々と交流を深め心も休もリフレッシュしようと呼びかけている。この運動と歩調を合わせた取り組みを提案したい。スキー場周辺には大きなホテル旅館、民宿等が多く、オフシーズンを活用した企画を行い売り出す。
@ そばオーナー制度の導入
 畑を区画に区切り会員に提供し、種まき、花見、刈り取り、脱穀、製粉、そば打ちを指導する。
A その他
 猪苗代町だけではなく、当町を基地に全会津を回遊してさまざまな活動(体験)が可能なコースを設定し、マスコミに協力を願う。(そばラリーウォーク)

(6)そばによる国際交流の実現
《そばを通じての外国との交流》
@ 平成11年にそばの種子を依頼したオーストラリア・タスマニア州との交流を図る。
A 毎年、渡りを繰り返している白鳥のふるさと、シベリア(ロシア)でもそばは欠かせない食糧であり、そのシベリアの人々との交流(そばの実のお粥=かシヤ)を図る。
B 国際蕎麦文化研究所の活動が活発になれば、いろいろな団々との交流が考えられる。会津の各自治体がそれぞれ外国との交流を深めることができ、会津全域が名実ともに国際交流の大きなエリアとなる。
C 小学校でのそばを育てる取り組み(日本そば協会のコンテスト有り)、中学校での手打ちそば体験(石臼での製粉、手打ちを行う[次世代のファン育成])

【住民の教育学習が急務】
このような計画を現実のものとするためには、共通な認識と方向性を持つことが必要である。そのため、学習会を重ね人材の育成を図ることが急務。

【マスタープランの作成を急ぐ】
A町の「蕎麦の里」の将来ビジョンを早急に作成し、町民に理解と協力を求め、同じ夢と希望を共有するための計画を急いで作成する。
[C:H,karahashi]








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