ZEN麺 Hot News Vol.5
                (2001年6月発行)


第6回 全麺協日本そば博覧会
躍動の3日間、「日本新そばまつり2000inとよひら」を終えて
広島県山県郡豊平町  
町長 前田 達郎  
(全国麺頬文化地域間交流推進協議会副会長)
「日本新そばまつり2000inとよひら」開催の御礼
 全麺協のご協力をいただき、『日本新そばまつり』を平成12年11月3日〜5日西日本で初めて豊平町で盛大に開催することができました。全麺協会員、並びに関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。
 本会は幸い第5回国民文化祭が広島県で開催され、本町はこの参加行事として「アジア食の祭典」として一体的に開催し、県の協力支援をいただきました。3日間晴天に恵まれ4万5千人の参加をいただきました。
 本町は昭和63年より「西日本一のそばの里づくり」をめざして、そばの栽培から製粉加工、手打ちそば保存会(60名)の育成など、積極的に取り組んでまいりました。いつか全国のまつりの開催を構想し続けておりました。
 これまで全麺協主催の各道県のまつりにも可能な限り参加してまいりました。この種の大会は、全国ネットワークの協力があって、はじめて開催することが可能で、平素お互いのお付き合いが大切です。また、全国まつりによって受ける知名度、産地評価、相乗効果は、はかり知れないものがあると考えています。その後、地方紙の中国新聞夕刊「でるた」に次のような投稿記事がありました。
 「私は今、早朝の旭川発札幌行きの特急ライラックの車窓から、雪景色を眺めながら全国各地の名物そばを食べ歩きできる満足感に浸っている。雪の北海道まで来たのは、先日、広島県山県郡豊平町で開催された”全国新そばまつり”に参加した、旭川市から40キロ北東、幌加内町のそば打ち名人との出会いがきっかけだった。名人は新そばを紹介、その本物のそばを現地で食べてみたいという、こだわりがあった。

〜中略〜

 仕事がら各地の名物そばを食べ回ることができ、おかげで、ちょっとしたそば通にもなれた。山形の板そば、戸隠の信州そば、出雲の割子そばなどに、先月は鹿児島県姶良郡で、しいたけそばを食べた。いずれも特徴のある自慢のそばで土地の香りが立ち上がり、実にうまい。」(平成12年12月25日付)

〜後略〜
マツダレンタリース社長
 そばを通じた交流の輪が拡がっていく。すばらしいことであります。
 最近、町おこし・村おこしにそばの里づくりをめざして取り組むところが多くなって参りました。私は単なる思いつきではじめたのでは決して長続きしない。発展へのプロセスを考えながら一つ一つの階段を登っていくという息の長い継続性とチャレンジ。活動のネットワーク化が大切であります。
 前信州大学氏原嘩男名誉教授、山梨県高橋邦弘翁主人は豊平町がそばの里づくりをはじめて以来、ご指導をいただいております。
 町づくりは人がつくる。いろいろなあたたかい人脈の中で、そばの里づくりははじめて大成していくものだと、ひとしお感じているところであります。
 全麺協会員の心暖まるご支援・ご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。

今後の展開
 私たち人間生活にとって、食べると言うことは楽しいものです。家族の団らんに、地域の寄り合いに、あるいは訪れる旅先で、その地域のおいしい特色のある食べ物に出会うと賞味したいものです。
 飽食の時代、あるいは食が個性化を失った時代といわれて久しいが、食を文化の視点から考えてみると、食を村おこしの一つのテーマに限りなく追い求めていく。そんな食文化へのこだわりがあってもいいのではないかと考えています。
 豊平町でも、古くから冷涼な気候条件を活かして、各農家においてそばが栽培され、地域の寄り合いや、祭りなどでそばが振る舞われ、自家用として食されることが多くありました。
 町としても、その伝統や栽培技術を受け継ぎ、かつ米の生産調整による水田転換作物として、そばの栽培を積極的に推進したいと考えています。また、そばの産品の拡充を図りながらそば愛好者を募り「西日本一のそばの里」づくりをめぎします。
 6次産品としての「豊平そば」を、都市部や町外から来られた人に、町内で賞味していただくことは、地域のあらゆる文化を体験すると同時に、人的交流にもつながるものです。
 今後も、地産地消をベースにした地域の活性化のあり方を創造し、農村と都市の交流のあり方を追求しながら、農村文化の向上と農村の活力を培いたいと考えています。



「日本新そばまつり2000inとよひら」の報告
○はじめに
 「西日本一のそばの里」豊平町は、広島県の北西部に位置し、東は千代田町、西は戸河内町・加計町、南は広島市、北は大朝町・芸北町に境界を接している人口4,700人の中国山地に囲まれた自然豊かな町です。「西日本一そばの里づくり」への豊平町の人々の勢いを伝え、そばがとりもつ人と人のふれあいを拡げる。をコンセプトとし、@モンスーンアジアに学ぶ「地域循環」の思想、A「文化」の伝承と交流、B「健康」〜長寿社会へ向けて、そばのまち豊平から発信〜、C21世紀を担う「人材育成」の4つの基本テーマをかかげ、平成12年11月3日から5日の3日間、「ふれあい公園豊平どんぐり村」を会場に「日本新そばまつり2000inとよひら」を開催した。
 このイベントを開催するに当たっては、全麺協から人的・物的にわたる多大な協力をいただき「素人そば打ち三段位認定大会」「全国そば食べ歩き広場」「そば談義」「そば文化館」など例年にない催しを開催することができ、これらの催しに加え、期間中はさわやかな秋晴れにも恵まれ、延ベ45,500人の来場者を数え大盛況でした。

1.第4回素人そば打ち三段位認定大会
 全国的な「そばブーム」の中、個人でそば打ちを楽しむ愛好者がふえ、そば打ちの魅力が徐々に広がっている。そんな中、第4回全麺協「素人そば打ち三段位認定大会」を当町で開催することとなった。
 今回、西日本で初めての三段位認定大会、また広島と言う遠方での大会であったため参加者は、22名と例年の大会より少なかった。しかし北は北海道の小槽から、西は当町までと文字通り全国各地から素人そば打ち職人が集まり、エントリーされた。
 大会前日の11月2日、レセプション会場にぞくぞくと出場者、応援団が集まった。午後7時より当町前田達郎町長からの歓迎挨拶で開会し、審査員の紹介、氏原嘩男審査員長の挨拶、板橋政博全麺協事務局長(山都町役場)から審査基準の説明、峰岸政義全麺協副会長(幌加内町長)の乾杯の音頭の後交流会に入った、その後大会参加者の紹介、日本舞踊、郷土芸能の神楽とプログラムは流れていった。その中で和やかな雰囲気のうちにそれぞれが交流を行い、あちこちで熱のこもったそば談義が繰り広げられ、非常に盛り上がったレセプションとなった。
 大会当日は、前日の雨天の影響が残り強い風が吹いていた。会場が屋外ゲートボール揚だったため競技に支障をきたすのではと心配されたが、大会開催時刻ごろには風も落ち着き、午前10時から開会式を行い、10時30分から1組日の8人競技開始、その後2組目7人、3組目7人と各組が競技を行った。競技は白熱し、審査員、応援団、観客も競技者の一挙手一投足を真剣な面もち見つめていた。そんな白熱した大会であったが、各地の特色あるそば打ち、個々の独特な打ち方などみることができた。
 各参加者の技術はプロのそば屋となんら変わらないもので、甲乙つけがたいものであったため、審査、集計作業は慎重に慎重を極めた。三段認定者、各賞を決定した後の審査員は皆疲れが隠せなかった。
 閉会式では、三段認定者14名に認定書の授与、各賞受賞者への賞状、目録の授与が行われた後、審査員 高橋邦弘氏から講評があり、「参加者の技術、技量の差は見られなかった。地域独特の打ち方が見られたが、それを地域のそば文化として大切にしてもらいたい。心を込めてそば打ちを続けていってほしい。地域での活躍を期待します。」とのコメントがあった。
 西日本で初めての「素人そば打ち三段位認定大会」は、およそ以上のように終了したが、参加者のそば打ちに対する情熱、姿勢、努力などを見る事ができ頭の下がる思いであった。また、これまでの認定大会と違い初めての屋外での認定会であったので、参加者には戸惑い、不安などあったと思うが、そういったものは全くみられない堂々とした競技が続き、参加者の技術の高さを伺うことができた。


〜素人そば打ち三段位認定大会豊平大会〜
審査員・解説者
  審査員長
  全麺協公認審査員  氏原 嘩男氏  (農学博士・信州大学名誉教授)
審査員
全麺協公認審査員  唐橋 宏氏  (桐屋・夢見亭 当主)
審査員
全麺協公認審査員  高橋 邦弘氏  (翁 当主)
審査員
実行委員会選任審査員  大橋 誠氏
解説者
小林 興一氏  (小邨 当主)


各受賞者
最優秀賞
粉川 健氏 (茨城県水戸市)
優秀賞
斉藤 正彦氏 (北海道小樽市)
優秀賞
寺西 恭子氏 (神東川県横浜市)
努力賞
横山 哲美氏 (広島県神石町)


2.全国そば食べ歩き広場
 そばまつりの目玉の一つ「全国そば食べ歩き広場」には、全国のそば処、市町村、団体から9店、当町から6店、加えて「翁」に出店いただき16店舗の出店となった。
 全国のいろいろなそばが食べられるとあって、来場者の中には、16店舗すべてのそばを食べた強者もいた。3日間とも秋晴れの天気もあり会場は大盛況で長蛇の列を連ねている店舗もあった。2万5千食あまりのそばが食された。
 また、全国各地のその地域独特のそば、多彩なそば打ちの技などを見ることができた。お互いの情報を交換する姿があちこちの出店ブースで繰り広げられ、そば打ちでの交流に花が咲いていた。

〜全国そば食べ歩き広場出店団体〜
北海道 幌加内町 幌加内町そば活性化協議会
北海道  北海道そば研究会
福島県 山都町
茨城県 金砂郷町
長野県 奥の院末広庵洗心塾
兵庫県 三田市 永沢寺そば道場
島根県 美都町 双川そばの会
福岡県 北九州市 北九州そば打ち研究会
広島県 庄原市 一木営農集団 一寸そば屋
豊平町 長笹みつば会傳次郎そば
豊平町 もえぎ庵
豊平町 丸茂亭旧家そば
豊平町 むさし
豊平町 子代田高校豊平分校
豊平町 豊平町手打ちそば保存会
山梨県

3.そば談義
 4日、野外ステージで、氏原嘩男氏、唐橋宏氏、高橋邦弘氏を迎え、そば談義を開催した。そばに対するこだわり、そばの普及からそば打ち、食べ方まで幅の広い話題に対してそれぞれの考え、思い、を熱く語ってもらった。会場につめかけた観客は3氏の熱論に圧倒されているようだった。
 話に合わせて、唐橋氏、高橋氏には名人と呼ばれるそば打ちの技を実際に披露していただいた。そば打ちをしながらの説明に感心する人や、あまりの技術の見事さに唖然としている人など見受けられた。
 質問の時間には、会場からそば打ちの質問だけに留まらずそば栽培に関する質問なども飛び出ていた。

4.そば文化舘
 そば文化館では、世界のそば、日本のそば、豊平のそばを視点にパネルを中心に展示を行った。
 世界のそばとして、氏原嘩男氏がミャンマーで行っておられる「ケシ」から「そば」への転換の活動報告。日本のそばとして、全国のそば処の紹介やその地域独特のそば打ちなどの紹介、全麺協の活動などの報告。
 豊平のそばとして、小学校から高校までのそばに関する取り組み、豊平町のそばへの取り組みの歩みなどを展示した。
 その他会場には、石臼でそばを挽く体験コーナーやそば焼酎の試飲コーナーまた書籍販売コーナーなども設けられ、子供から大人までそばを知り、そばを体験することができたようである。

5.そば打ち体験道場
 4・5日の2日間、屋外ゲートボール場で「そば打ち体験道場」を開催した。両日とも受付終了時間前に定員になるほど盛況であった。
 豊平町手打ちそば保存会の指導でそば打ちを体験した。水の量が少なく固くなって手こずる人、丸出しで上手く丸くならず首をひねる人、明らかにうどんより太いそばにする人いろいろであったが、参加者はそば打ちを楽しんで自分のそばを打ちあげていた。

6.その他
 5日、大羽釜によるそば雑炊を無料で配布した。5,000食を準備していたが、配布前から長船の列が続き、好評を得ていた。
 地元の多種多様な人達が出店している「おおごっつおう広場」は、例年大賑わいのコーナーで、今回も町内31店舗の出店があり、来場者が産品を購入するのはもちろんのこと、全国からの出店者も「おおごっつおう広場」にたちよって、豊平の産品を購入したり、交流を楽しんだりする姿が見られた。
 ステージイベントは、「神楽」「田楽」とよばれる豊平町の郷土芸能などを中心として構成され、この地方に苦から伝わる文化を全国にむけて発信することができたのではないだろうか。

7.反省・今後への展開など
 まず、来場者に満足感を持って帰ってもらえたかどうか、広島市と言う大都市を抱えている近隣地でもあるため、リピート客、「豊平そば」のファンを獲得できれば、そばでの町起こしも一過性のものではなく今後につなげていくことができる。全国からの出店を得たことで、全国のそば処と町民の交流ができ、その交流の中で町民が「そばの町・豊平」を認識する事ができたと思う。その認識を基にしながら、全町民が胸を張って我が町のそばに誇りを持てる産地化、地域ブランド化を進めていきたい。また、全国規模の大イベントを体験したことにより、町の職員の中にも自信が牙生えてきた。
 この度のイベントを行った事によって、「西日本一そばの里」を印象づける事ができたのではないか。
 しかし、「豊平町手打ちそば保存会」も高齢化してきており、そば打ちの技術の伝承をスムーズ行っていけるか。転作田でのそば栽培の問題など多数の問題が見えているのも事実です。
 今後、よりいっそう「そばの町・豊平」を浸透できるよう、町と町民の温度差がなくなるようなそば振興を押し進め、「西日本一そばの里」豊平町を発展させていきたいと思う。








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